運転日 2019.9.4
明知鉄道 機関庫よりC12 244号機を撮影
今回は信じられない貴重な体験をして来ました。
お世話になったのは 明知鉄道さんです。
恵那駅ホームより撮影 アケチ101
何処の私鉄だっけ?
と、思われる方もいらっしゃいますかも知れませんね。岐阜県は恵那市に有りますJR中央線の恵那駅と接続している、営業キロ25.1km、11駅の寸詰まり路線になります。
位置的には、岐阜県の中でも長野県と愛知県の県境近くになります。
この鉄道会社では な!な!何と!
SLの運転体験イベントを定期的に行っております。今回は偶々、私の休日とイベント日が重なりまして、運良く参加と相成りました。
会場になる終着駅の明智駅へやって来ました。
が、午後より雨になってしまいました。
雨天中止と説明には書かれておりましたので、心配しましたが、多少の雨では決行とのお話があり、安堵します。
運転体験は1日4回行なわれ、一回あたり1時間程度で4人ずつ参加出来ます。2人ずつ機関室に入り、明智駅構内100m程を前進後退し、交代で運転。
残りの2人は機関室の2人が終わるまで付随されている"ヨ"の中で待機し、ヨでの乗車を楽しむ、という物。
1日に2度申し込んでいる方や、この体験への参加は3度目と言う方も。リピートされる程、魅力的なのでしょう。
参加者は大阪、埼玉、福岡、静岡と様々な地域から集まっておりました。
さあ、機関庫へ!
先ずは、格好から入る事も重要なポイントの一つです。
機関士の制服と帽子、軍手、機関士と書かれた腕章を身につけ、記念撮影です。制服が用意されていて、嬉しい!
機関士に成りきり、とてもテンション上がっております。
実はこの244号機は蒸気では無く、空気機関車に改造されております。
コンプレッサーにより作られた圧縮空気が蒸気室に送られ、ピストンを動かしております。
エアロコモティブ? AL?! と言うところでしょうか。
ですので、爆炎や炭入れは有りません。
後方ライトの上、炭庫の隙間から空気圧縮機が見えております。
それでは、いよいよ機関室へと入ってみます。
機関室で運転士さんから機械の説明、操作方法を教わり、いよいよ運転席へ。
▲先ず、逆転機をぐるぐる回し、前進、後退を決めます。勿論、前進位置へ固定し、ロックします。車でいうギアチェンジ作業ですね。
▲そして、指差し確認で「前良し!後ろ良し!」
▲圧力計の確認も「圧力良し!」
▲汽笛を一声鳴らします。余りの音の大きさに自分でも驚きます。
▲加減弁を手前に少し引き、機関車の動き出しを感じます。圧力計を確認し、1kpの辺りで走行します。
▲停止位置に向けブレーキ弁を操作します。
私は前進、後退も停止位置手前で停止してしまいました。ああ…やり直したい(汗)
明知鉄道さんが沢山撮影して下さったので、お陰様で運転の様子を記事に出来ました。
顔出し?横顔なので、一枚だけサービスです。(笑)
運転終了後、C12 244号機について説明して頂けました。
煙室扉を開け、中を見せて頂いている様子と
前照灯を照らして貰えた様子です。▼
とても一つ一つが貴重な部品ばかりで、なかなか代替品が無いのだそうです。電球は元々備わっているものを今だに使用しております。もし、球切れしてしまったら、後方灯を持ってきて使うしかないと仰っておりました。
「LEDに替える予定は?」と、ふざけた質問をしてみました。
「有り得ない!」と笑っておりました。




足回りの部品も一点一点がこの244号機の為に誂えたもの。C12 244と刻まれています。中には他のC12 から貰った部品もあり、他の番号が刻まれておりました。面白いのはC56から調達してきた物もあり、C56 93と刻まれた物も発見出来ました。C56の部品はC12 への転用が唯一可能なのだそうです。
空圧式と言えど、バカには出来ません。音も蒸気さながら、負けておりません。
実際にC12 の機械を動かしてみて、掌に伝わる微動や力具合の調整、匂いや低音 等、どれも新鮮に感じ、且つ 真剣な運転体験になりました。
車で言うアクセルにあたる加減弁は重く、男性的な力仕事だと感じました。
肩に力の入れ過ぎでガチガチでしたが、何度も体験している方の気持ちが分かる様な気がしました。これは一度やったら嵌ります。出来ることなら私ももう一度運転してみたい。今度はもっと上手く出来そうな気がします。
貴重な機会を与えて戴き、又、親切に対応して戴いた明知鉄道さんに感謝致します。
現在、明知鉄道で C12 244号機の旅客運用は無く、運転体験や乗車体験イベントのみで使用しながら動態保存されております。客車も持ち合わせていない様でした。
SLで客車を牽いての運行は莫大な費用が掛かる為、此方では今のところその予定は無い様です。
しかし、僅かの走行であればこそ、この空圧運転による夢の運転体験が可能となったのです。
毎年行われており、今年度中もまだ予定されております。興味を持たれた方は是非とも明知鉄道へ鉄道利用でいらしてみて下さい。
リンク貼りましたので御覧下さい↓↓
https://www.aketetsu.co.jp/train/sl_menu
〜乗り道メモ〜
よよ!ヨ!と鉄子さん。
今回のもう一つのお楽しみは、なんと言ってもC12 に牽引されているヨ8000形への乗車。しかも、動く "ヨ" に乗れる事です。
さて、内部には三隅に椅子が置いてあり、その中の一箇所には小さな筆記用デスクがあります。此処で運行に関る書類の作成を行っていたのでしょう。
中央には薪ストーブが。しかし、薪を使っていたのは昔のことで、近年は石油ストーブに変えられたそうです。石油タンクも備えてあります。確かに真冬の昼夜を問わない貨物仕事、勤務は辛そうですよね。
小さな扇風機も天井に備わってました。夏はこの小さな扇風機だけ?
夏の勤務の方が辛いかも知れませんね。


椅子に座り、揺られ、デッキとC12 をボーっと眺め、機関士さんや作業員さんの思いに寄り添い、どんな事を考えながらこの椅子に座っていたのやら。と、一人、思いに耽っておりました。
実はこの体験に私と同世代と思しき女性が参加しておりました。大阪からいらした彼女は始発で此処まで来て、1回目の10:30〜も体験に参加し、「次は2度目の運転」と仰っていらっしゃいました。
帰りの恵那駅まで一緒だったのですが、話をしていて彼女の知識鉄振りには圧倒されっ放しだったんです。
才 鉄子さん(仮名)は鉄活歴3年目。ではありますが、何でも知っています。秩父鉄道のパレオが来年は運休や、真岡のC 11は東武へ譲渡等…
私のブログ写真をチラ見せしたら、「ああ、渡良瀬ネ」と即答。私が知識薄なのでついて行けず申し訳ない気持ちになってしまいました。
才 鉄子さんは急勾配に立つ駅の飯沼駅(33‰)を体感したいと途中下車されて行きました。
勾配の途中のホームから上り列車を眺めると、車両が坂を下る様に走る姿が楽しめた事でしょう。
隣に座っていらした京都より古城巡りに来ていた団体のオバちゃまが
「何でこんな無人駅で下りたの?」と、不思議そうに訪ねて来ました。事情をお話しすると、「変わっているわねぇ!」と、驚かれておりました。確かに一度下車すると次の列車まで1時間待ちですから、気が知れないと思われたのでしょう。一緒に笑う かくいう自分も次の駅で一本列車を撮影する為に下車するのですけどね。
オバちゃま達、呆れておりました。
比較的時間がある様子の才 鉄子さん。秋のイベントは隅田川貨物駅へ行きたいと話されておりました。彼女から隅田川の名前が出てきた事に不思議な親近感が湧いてきました。
そう、私の実家は隅田川貨物駅脇ですから。
(今は有りませんけど)
暑さも遠退き、撮影にも良い季節の到来です。
アチコチの鉄道イベントも 迷う程多く開催されますね。平日休みの私は今年も貨物イベント行けないだろうな。
「また、何処かでお会いしましょう」
と、去り行く才 鉄子さんの後ろ姿を眺め、
少し取っ付き難い女性だけど、格好の良い女性だな…と羨望の眼差しで見送りました。
旅先での人との巡り会いに また嵌まってしまいそう。と、感じた出来事でした。